知識を体系化する3つのステップ

一般に、知識を多くの人が使えるようにするためには 「体系化」が必要です。 知識の体系化とは、 例えばある知識はある問題領域のどこに位置するのか、 別の知識との関連はどうなっているか、 その知識を習得すると全体のどこまでが理解できたことになるのか、 また、まだ理解していない範囲はどこなのか、 などがわかるようになっていることを言います。 わかりやすく言ってしまえば本の目次のようなものです。
(中略)
体系化されることによって、 人はその全容を理解することができるようになります。 「未知なるもの」を体系化すれば、 それは現時点で明らかになっていないものに対し、 多くの人を導く役割を果たします。 つまり体系付けた人物以外の者にとって、 目指すべき方向性がはっきりします。 多くの者が一斉に、未知ではあるが解決すべき課題に向かって進んだとき、 そこにイノベーションが起きます。

http://homepage3.nifty.com/kaku-chan/viewpoint/no_002.html


最近、全社共通のシステム開発標準を作成するプロジェクトに参加している。

そこで設計やテストの技法を体系化する必要があり、色々と苦労・反省したのでメモを書き記す。

先に反省点(=この技法で注意する観点)を挙げると、

  1. 知識が多すぎて使いやすい資料を作成するのが難しい
  2. 参照したい資料が何だったか、また参照元がどこだったかがわからなくなる

つまり、何も考えず体系化の作業をしていると、情報量の多さに資料と脳ミソが混沌、混乱、喪失しがちなのである。

この技法は、知識の体系化と書いたが、問題の整理なども大体同じような手法で可能である。


1.体系化する「目的」を明確で短い言葉にする

【やりかた】
目的の意識化:知識を体系化した資料を何に使うのか、体系化の先にある目的をハッキリわかりやすい言葉にする。
たとえば「開発標準として単体テストケースの作成方法を定義するため」とか。
ダメな例は「単体テストケースの技術を知るため」とか。きりがなくなる。

【メリット】
作業範囲の明確化:目的をハッキリさせ、それを常に頭の片隅に置きながら収集・整理すると、資料の取捨選択が自然にでき、作業が深みにハマりにくくなる。
資料収集/分類の方針確定:同じ資料を集めても、それをまとめたものを最終的に何に使うのかによって、体系化の枠組みが変わる。
先に目的を明らかにすることで、ある程度、集めるべき資料と、その分類方法について方針が見えていた方が収集・分類作業でつまづかない。
(収集・分類方法をガチガチに規定しないのは、収集・分類する中で方向修正することがありえるため。スタート時点ではあくまで仮定レベルにする)

【回避したい問題】
手段の目的化:知識を体系化するなどの大がかりな作業の場合、資料の幅広い収集や知識を深めること自体にシフトしがち。
ハマりそうになったら、ふと我に返り目的が何なのか再確認する。
情報の収集という基本作業の無限地獄にハマらないためには、収集する知識の広さと深さをどこまでにするかを決める必要がある。




2.収集した資料をスクラップする

【やりかた】
資料、即、スクラップ:ターゲットの知識に関する資料を集めていて、いいな!と思ったところはすぐにスクラップ(メモ)する。
(スクラップするのは、その時点で体系化するときに使う材料になりそうだと思うもの)
引用元の記録:そのとき、そのスクラップが「何・What」(本や記事のタイトル)の「どこ・Where」(ページ数やURL)にあるのか忘れないうちに記録する。

【メリット】
有効な情報の早期抽出:収集した資料を読みながらすぐにメモることで、後で使えるソースを整理しやすく、すぐ資料化できるレベルになる。
(料理で言うと、食材=資料を、下ごしらえ=スクラップするような感覚。後は調理=体系化するだけ。わかりにくいか
引用元の整理:スクラップした情報がどこから拾ってきたのかわかるので、資料化した際に引用元をすぐに一覧にできる。
(※体系化に客観性を出し、説得力を持たせるために、引用元は必ず全て明らかにしなければならない

【回避したい問題】
ソースの行方不明:整理や体系化の作業中に、収集中にどこかで見たあのいい感じのソースどこだっけ・・・ということがなくなる。
スクラップの身元不明:いい感じのソースではあるけど引用元がわからない、ということがなくなる。




3.資料を整理する

【やりかた】
分類:集めたスクラップを、似たもの同士集めて、名前をつけてやる。
このとき、「目的」のために使う資料を作っていることを念頭に、最初に決めた「目的」のための分類方法でグループ分けしていく。
資料が目的とする用途に足りなければ2に戻り、資料を再び集める、というサイクルを繰り返す。

【メリット】
体系化:集めた資料を分類して名前付けすることで、イコール体系化がほぼ完了したといってよい。
また冒頭で引用したが、新たな分類という作業を通して体系化を図ることで、新たな事実や方向性が発見されることは良くある。
つまり、「目的のためにどう使えば良いか」のアイデアが得られるだろう。

【回避したい問題】
知識の混沌:資料を収集しても分類しなければ、目的のために使おうとしても、何がどこにあるかわからず使い物にならない。
本来の目的のために実際に使うことを想像して、どうしたら使いやすいか、どう使いたいかを考えながら分類するとよい。



ここでは4.目次を作る、などの項目を省略している。

また、各項目について詳しいタスクレベルの話はまた次回していこうと思う。