幼稚園と保育園、どちらが幼児教育に優れているか?

今春実施された全国学力調査では、3歳から6歳の間の幼児教育の経験を児童生徒に聞き、学力調査の正答率との関係をみた。
調査開始以来初めての試みで、幼稚園に通っていた子の正答率は、小6、中3とも全教科で保育所に通っていた子より高かった。

http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY201007300598.html


この記事を理解する前提として、「有意差」というのがあります。

「有意差」というのは、簡単に言うと、幼稚園出身と保育園出身の点数差は、統計的に見て、意味がある差なのか、それとも偶然なのか?ということです。

もちろんこういう一般的な記事に、0.1%で有意だったとか書く事はまずないですが。

私に言わせれば、この手の記事は全て最初から一切信用する価値のないものです。

歯牙にもかからないし、記事のタイトルそのものについては、議論の価値が一切ありません。


仮に有意差があったとしても、記事にある通り、「保育所は低所得層など、家庭環境が不利な子どもも受け入れている」のです。

そもそも子どもの学力差はどのように生じているのか?

その原因について教育社会学では、アメリカでの研究をベースにした階層による再生産を原因とするのが主流な考え方でしょう。
(ゆえに記事での教育社会学者のコメントもこれに準拠している)

にもかかわらず、文科省は幼稚園か保育園かでグループを分けて単純なクロス集計をしている。

このグループ分けが、階層を間接的に判別する手法ならば、記事の書き方が悪い。
(間接的に、というのは、年収を直接聞くのは抵抗が強くプライバシーの問題もあり回答してもらえない事が多いため、間接的に階層を類推させる質問が設置されるという、よくある手段です)

しかしデータの出し方からして、文科省の識見の浅さ、あるいは恣意的な物を感じずにはいられない内容ですね。

そういう意味での議論の価値はあるかもしれません。